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マンション駐車場の空きを外部貸しで対策!税金の注意点や運用のコツを解説

マンション駐車場の空きを外部貸しで対策!税金の注意点や運用のコツを解説

  • 駐車場経営
  • 駐車場管理

2025.11.25

マンション駐車場の空きが増えると、管理費や修繕積立金の不足につながり、運営に影響が出ます。多くの管理組合にとって、こうした空き区画をどう活用するかが大きな課題になっています。

そこで注目されているのが「外部貸し」という方法です。

本記事では、外部貸しを始める前に知っておきたい税金の注意点と、安心して運用するためのコツをわかりやすく解説します。

マンション駐車場の外部貸しとは

まずは、外部貸しとは何か、どのような仕組みで成り立っているのかを確認していきましょう。

マンション駐車場の空きはお金の問題につながる

分譲マンションでは、駐車場の使用料が管理費や修繕積立金を支える大切な収入源です。そのため空きが増えると、計画していた収入が得られず、運営全体に影響が出ます。
修繕積立金は大規模修繕などに備える資金ですが、駐車場収入が減れば、区分所有者が追加で修繕費を負担する可能性もあります。
とくに機械式駐車場は維持費が高く、空きが増えてもコストは下がりません。このため収支バランスが崩れやすく、早めの対策が欠かせません。

対策のひとつに外部貸しという選択肢

外部貸しとは、区分所有者ではない人に空きスペースを有料で貸し出す方法のことです。空き区画をそのまま収益につなげられるため、無駄を減らすことができます。
貸し出し方法にはいくつか選択肢があり、管理組合が自ら募集・契約を行う方法と、駐車場運営会社に貸し出すサブリース方式があります。サブリースは、利用状況に左右されず一定の賃料を受け取れる点が大きなメリットですが、直接契約に比べると賃料が下がりやすいことがデメリットです。
外部貸しを取り入れることで、空き区画から継続的な収入を得られます。その結果、管理費や修繕積立金の不足を補いやすくなることが期待できます。

こちらの記事では、アパートやマンションの空き駐車場問題について解説しています。
効果的な対策や注意点も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

マンションの駐車場を外部貸しする際の課題

外部貸しは空き区画を活用できる有効な方法ですが、いくつかのリスクもあります。
ここでは、代表的な3つの課題を確認していきましょう。

セキュリティ対策

外部貸しを行うと、マンション敷地内に区分所有者以外の人が定期的に出入りするようになります。そのため、住民のなかにはセキュリティ面で不安を感じる人が出てくる可能性があります。
月極契約で利用者や車両を特定できるため、不特定多数が出入りするコインパーキングとは異なります。しかし、見慣れない車が駐車している状況は、一部の住民にとって不安要素になりえるでしょう。
そのため、外部貸しを検討する際には、監視カメラの設置や定期的な巡回などのセキュリティ強化をあわせて検討することが重要です。

トラブル発生の可能性

外部利用者による指定場所以外への無断駐車や、契約外の車両駐車、賃料滞納といった問題が発生するリスクがあります。また、駐車マナーや騒音、ゴミの放置などが原因で、住民から苦情が寄せられるケースも考えられます。
こうしたトラブルを未然に防ぐためには、利用規約を明確にしておくことが重要です。契約時に利用者へ丁寧に説明し、内容への理解と同意を得ておくことで、安心感につながります。

また、違反が発生した場合の対応方法を事前に決めておくことで、問題が発生しても落ち着いて対処しやすくなります。

原則として収益事業とみなされ課税対象になる

マンション駐車場の外部貸しは、税務上「収益事業」とみなされるケースが多く、法人税などの課税対象となる可能性があります。

マンション管理組合は法律上「人格のない社団等」として扱われ、通常は法人税が免除されています。しかし、営利を目的とする事業活動を行うと、一般企業と同様に課税されます。

国税庁が定める34種類の収益事業のひとつには「駐車場業」が含まれています。外部貸しが該当すると判断されれば、駐車場収入に対して法人税や法人住民税が課されるのです。

実際に課税対象となるかについては、募集方法や契約内容によって異なります。なお、課税対象となっても税務署から納付書は送られてこないため、管理組合が自主的に決算書を作成し納税手続きを行う必要があります。

出典:国税庁「マンション管理組合法人が組合員以外に駐車場を貸与した際の 駐車場収入に対する法人税課税」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/pdf/01.pdf

マンション駐車場の外部貸しが課税対象に?国税庁の見解を解説

外部貸しによる駐車場収入が課税対象になるかどうかは、募集方法や契約条件によって変わります。
ここでは、国税庁が示したモデルケースをもとに、以下の3つのパターンに分けて解説しましょう。

  1. 外部貸し部分も区分所有者使用部分も課税対象となるケース
  2. 外部貸し部分のみ課税対象となるケース
  3. 外部貸し部分も区分所有者使用部分も課税対象にならないケース

出典:

国税庁「マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について」
https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/hojin/120117/besshi.htm
行政評価局「マンション管理組合法人が組合員以外に駐車場を貸与した際の 駐車場収入に対する法人税課税」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000146701.pdf

1:外部貸し部分も区分所有者使用部分も課税対象となるケース

マンションの駐車場を区分所有者と外部利用者の区別なく、同じ条件で広く募集している場合、駐車場全体が「駐車場業」に該当し、すべての駐車場収入が課税対象となります。
具体的には、募集を広く一般に対して行い、区分所有者であるかどうかを問わない運用が該当します。使用許可は先着順とし、区分所有者に優先権がない点も特徴です。さらに、使用料や契約期間などの条件が区分所有者と外部利用者で同じ場合、課税対象と判断されます。
このケースでは一般的な有料駐車場と同じ事業形態とみなされ、駐車場全体の収入に対して法人税が課されます。区分所有者が使用している区画も対象に含まれる点は、とくに注意が必要です。

また、管理組合は自主的に決算書を作成し、納税手続きを行わなければなりません。多くの管理会社は税務申告を業務範囲外としているため、管理組合自ら手続きを行うか、会計事務所への依頼が必要になります。

2:外部貸し部分のみ課税対象となるケース

外部に対して募集は行うものの、区分所有者を優先する条件を設定している場合は、外部貸しの区画のみが課税対象になります。

たとえば、外部利用者への募集は行うものの、区分所有者の利用希望がない場合に限って使用を認める運用があります。また、新たに区分所有者から利用希望が出た際は、外部利用者へ一定期間の猶予を設けたうえで明け渡しを求める方法も該当します。
この運用方法では、駐車場はあくまでも区分所有者のための共用施設という位置付けが維持されます。そのため、区分所有者が利用している区画は収益事業ではなく、管理組合の共済的な事業として扱われます。

一方、外部利用者が使用している区画については、継続的に収益を得る目的があると判断されます。そのため「駐車場業」とみなされ、収入が課税対象となります。

3:外部貸し部分も区分所有者使用部分も課税対象にならないケース

積極的に募集を行わず、外部からの申し出に応じて臨時的・短期的に貸し出す場合は、外部貸し区画も区分所有者の使用区画も課税対象になりません。

たとえば、マンション近隣で工事が行われる際、施工業者から工事期間中に限って空き駐車場を使用したいという依頼があったケースが挙げられます。このように、あらかじめ募集はしておらず短期間の一時的な利用にとどまる場合は、収益を目的とした事業とはみなされません。
この扱いは、区分所有者の利用を妨げず、独立した事業としての継続性がないためです。ただし、短期利用といっても明確な日数基準があるわけではありません。状況によって判断されるため、運用前に慎重に検討することが大切です。

マンション駐車場の外部貸しで押さえておくべきポイント

外部貸しを安全に収益化へつなげるには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。実施前の準備から運用ルールの整備まで、成功のカギとなる3つのポイントを解説します。

収益計画を立ててから外部貸しの是非を検討する

外部貸しを導入する前に、税金と収益のバランスを慎重に検証することが大切です。外部貸しで得られる収入が、課税後にどの程度残るのかを事前にシミュレーションしておきましょう。
駐車場収入にかかる法人税率は、年間の課税所得が800万円以下の部分は15%、800万円を超える部分は23.2%です。駐車場の売上高が1,000万円を超えると、消費税の納税義務も発生します。

さらに、外部利用者の割合が増えることで、固定資産税に影響が出る可能性があります。居住者以外が使う区画が多くなると、住宅用地の特例が適用されなくなる場合があり、その結果、固定資産税が上がることもあります。
こうした税負担を差し引いたうえで、最終的に管理組合に残る金額を把握しておくことが重要です。場合によっては、税負担が増えることで収益がかえって減る可能性もあります。

試算が難しい場合や判断に迷う場合は、駐車場運営の専門会社へ相談することをおすすめします。

出典:
国税庁「法人税の基本的な仕組み」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2025/pdf/01-02.pdf
国税庁「消費税のしくみ」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

近隣の需要を把握する

外部貸しで安定した収入を得るには、マンション周辺の駐車場需要をしっかり把握しておくことが欠かせません。需要が少ないエリアで始めても、利用者が集まらず期待したような収益を上げられない可能性があります。

まず、近隣にある月極駐車場の賃料相場を調査しましょう。周辺の駐車場と比較して適切な価格設定を行うことが、利用者確保につながります。
また、マンション周辺の立地条件も重要です。駅やオフィス街に近いエリアであれば需要が見込めますが、郊外で公共交通機関が充実しているエリアでは駐車場需要が低い傾向にあります。
競合となる駐車場の空き状況もチェックしておきましょう。近隣に空きが目立つ駐車場が多ければ、新たに外部貸しを始めても利用者を集めるのは難しいかもしれません。

外部貸しのルールや規約を明確に定めておく

外部貸しをスムーズに運営するには、事前にルールや規約を整えておくことが欠かせません。トラブルを未然に防ぎ、住民の理解を得るためにも慎重な準備が求められます。

まず、マンションの管理規約を確認しましょう。多くのマンションでは、駐車場を区分所有者のみが利用できると定められています。そのため、外部貸しを認めていない、あるいは記載がない場合は規約の変更が必要です。
管理規約の変更には、区分所有者および議決権の4分の3以上の賛成が求められます。総会で承認を得るためには、外部貸しのメリットやリスク、収支の見通しなどを丁寧に説明し、住民の不安を解消する姿勢が求められます。

また、外部利用者向けの利用規約も整備しておきましょう。駐車位置の指定、利用時間、マナー、違反時の対応などを明記し、契約時に十分な説明を行いましょう。
セキュリティ面では、監視カメラの設置や注意看板の掲示、定期的な巡回といった対策も検討すると安心です。万が一のトラブルに備え、保険への加入を検討しておくことも有効です。

出典:
e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」
https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069
国土交通省「令和7年マンション標準管理規約改正について」
https://www.mansion-info.mlit.go.jp/wp-content/themes/mansion_portal/file/siryo/10_symposium_m3epr6nx.pdf

まとめ

マンション駐車場の空きは、管理費や修繕積立金の不足を招き、マンション全体の財政に影響を与える問題です。そのため外部貸しは、空きスペースを有効活用して収益を確保する有力な選択肢といえます。
ただし、外部貸しを導入する際には、税務上の取り扱いやセキュリティ対策、トラブル防止のためのルールの整備など、さまざまな課題をクリアする必要があります。また、近隣の駐車場需要を的確に把握し、適切な賃料設定を行うことも成功のカギです。

「月極マネジメントどっとこむ/不動産工房」では、駐車場のサブリースを1台分からトータルサポートしています。これまで多数のマンション駐車場をサポートしてきた経験をもとに、安定した収益化とスムーズな運営を支援します。

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